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べてるの家の当事者研究をわかりやすく解説

精神科看護

はいどーも!

精神科看護師のささやんです。

今回は以前紹介したべてるの家の当事者研究について詳しく掘り下げていこうかと思います。

べてるの家については過去記事を参照してください。

当事者研究は主に精神障害当事者やその家族を対象としたアセスメントとリハビリテーションのプログラムでありますが、精神科看護に役立つのはどんなところかを知っていきましょう!

当事者研究とは

SST、認知行動療法、心理教育、ストレス脆弱性モデル、ストレングスモデル、ナラティブアプローチ、スキゾフレニクスアノニマスなどを基礎としているとれています。主体を「当事者」として研究していきます。

①当事者研究とは、統合失調症などを持ちながら地域で暮らす当事者の生活経験から生まれた自助-自分を助け、励まし、活かすプログラムである。
精神障害をかかえた人たちの困難とは、精神疾患による直接的な苦痛や辛さではなく、当事者自身と、当事者を取り巻く人間関係も含めた内的外的な環境によってもたらされる部分の方が大きい。その典型が、過剰な保護や管理、過剰な投薬であり、当事者自身のニーズよりも、周囲のリスクの軽減を重んじるかかわりが中心となり、結果として長期入院をもたらす要因となってきた。他者に管理、保護される暮らしよりも、むしろ一人の人間としての正当なリスクを求めることを重んじてきた。

②当事者研究ではどんなに困難な状況にあっても、その場と自分や仲間の経験の中に、困難を解消する「知恵が眠っている」と考える。
最も重要な資源は、当事者の“体験”という貴重な資源であった。その体験を持ちより、語り合う中で、体験は「経験」へと昇華されるのである。
 
③当事者がかかえる様々な生きづらさ(見極めや対処が難しい圧迫や不快なできごと、症状や薬との付き合い方、家族・仲間・職場における人間関係、仕事上の苦労)や、固有の経験等を研究の素材にする。自分自身で背負いきれないと思ってきた苦労や生きづらさでも、「研究」という担い方を志した時、それは興味や関心となって、不思議と持ちやすいものになる。「語ること」を重んじてきたべてるの伝統と、当事者研究が認知行動療法であるSST(生活技能訓練)のプログラムの展開から生まれてきた。

④当事者自身が仲間と共に、関係者や家族と連携しながら、常識にとらわれずに「研究する」という視点に立ってワイワイガヤガヤと語り合い、時には、図(絵)や、アクションを用いて出来事や苦労のおきるパターンやしくみ、かかえる苦労や困難の背後にある意味や可能性を見出すことを重視する。
当事者研究は、当事者が生きている主観的な世界と感覚を共有しながら、新しい暮らし方、生き方、のアイデアを模索することを大事にしてきた。そのような他律的な保護や管理から脱却し、自律的な試行錯誤を促す環境づくりを大切にしてきた。「自分の辛さがわかってもらえた」という実感を重んじる。その“主観的な問題意識”を共有する手立てとして「自己病名」(例:統合失調症ガンバリ型最後にガス欠タイプ)が有効である。

⑤前向きな(自律的な)試行錯誤を重ねる中で、即興的(偶然性)に生まれるユニークな理解やアイデアこそが“自分の助け方”の重要な発見につながると考える。そして、そこで見出されたユニークな理解や自分を助けるための手立てを現実の生活の中に活かすことや仲間と分かち合うことを大切にしている。

単なる「問題解決」の方法ではなく、「問題」と思われている出来事に向き合う「態度」「とらえ方」「立ち位置」の変更や見極めを基本とし、問題が解決されないままでも、「解消」される可能性も視野に入れる。
いわゆる問題は、その捉え方、抱え方によって、重さや意味を変える。例えば、主治医に「統合失調症です」と宣告された親が、医学書に記載された統合失調症の記述を読んで、絶望的な心境に陥った、という話もある。一方では、浦河で統合失調症をかかえるメンバーは、講演先で統合失調症の説明を求められた時、「統合失調症は、友達ができる病気です」と語った。同じ現実を語るのに、その語る立ち位置によって、絶望にもなり、希望にもなる。そのような「態度」「とらえ方」「立ち位置」の変更や見極めは、認知行動療法のアイデアとも通じるものがある。

当事者研究ネットワークより一部抜粋https://toukennet.jp/?page_id=56

当事者のニーズを優先。

病気をあきらめない。

可能性を見出す。

自律的に試行錯誤する病気に対する捉え方を変えていく。

「理想論だ。現場では暴れたり聞く耳を持たない患者がいたり、妄想に支配されていたりとこのようにうまくいかない。」との声が聞こえるかもしれません。

でもやってみないことには始まらないですよね!

そして僕たち看護師の考え方も重要になってきます。

そもそも精神科看護では根治が難しいと言われています。

精神療法や薬剤を使用し、症状を抑える対症療法を行っているにすぎません。

今までの問題志向型の看護では症状を取り切れない人に対しては、問題がいつまでたっても解決しません。

病気とうまく付き合っていく、向き合っていく方法を考え、実践していくことが根本の解決になっていくんだと思います。

そして、その対応を考える手段に適しているのが当事者研究なんだと思います。

当事者研究の進め方

当事者研究は、次の①から⑤の要素を押さえながら進められることが多い。

①何がどうなっているのか
繰り返し起きている出来事のパターン、起きている「問題」の意味の見極めと吟味する。「問題」の良いところや前向きな効果や意味を考える。すでに解消された「困難」や「成果」も、それがなぜ解消されたのか、どんな「自分の助け方」が発揮されたのかを取り上げることもある。この場面で、ロールプレイや、図や絵などを用いる。

②それにどう対処してきたのか
起きている「問題」をどのように受け止め、対処してきたのか。爆発や強迫的な行為も、「自分の助け方」の一つとして受け止める。

③その結果や満足度は?
ある出来事に対して取ってきた対応-例えば「爆発」-の満足度、効果を確認し、満足度が低い場合はそれに変わるあらたな手立てを一緒に探る。

④従来の「自分の助け方」にかわる「新しい自分の助け方」を検討し、具体的に、どのような手立てを、どのようなタイミングで用いればいいのかを実践する。必要な場合は、練習をする。

⑤その結果、効果を見きわめて、次の対処を考える

当事者研究ネットワークより引用https://toukennet.jp/?page_id=56

簡単に言うと

・自分の症状を研究したい人が立候補する

         ↓

・病気にまつわる様々な悩みをさらけ出す。

         ↓

・自分たちで病気(症状)に名前を付ける。

         ↓

・同じ症状がある人達だからさらけ出せる。

         ↓

・対処を一緒に探る

          ↓

・対処を実践していき再度評価する。繰り返しになります。

当事者にしかわからない苦労をみんなと共有することで、本人が症状のメカニズムや対処方法について研究していくというものなんですね!

まとめ

医療者も、患者も今までの考え方を変える必要がありますね。

病気の捉え方だったり対処の仕方だったり。

認知行動療法やSSTなど書店へ行けば必ずここら辺の本が並んでありますよね!

これらを基礎としているべてるの家の取り組みから学ぶべきことはたくさんあると思います。

現在は統合失調症だけでなく発達障害やうつ病、パーソナリティ障害など様々な精神科疾患の当事者研究が出てきています!!

べてるの考え方を学び、今後の看護に生かし、どのような反応が見れるか楽しみでもあります。

皆さんもぜひ興味があったら詳しく調べてみてください!!!

以上ささやんでした<(_ _)>

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